君の意味

金沢勇希の『君の意味』

「ほら、言ったでしょ」と言いたくて、家を買った話

「家を買うか、賃貸にするか?」

これは昔からよく議論されるテーマですよね。

ぼく自身は、今後も引っ越すことになるだろうと思っていたので、当時は完全に“賃貸派”でした。でも妻は、「夢のマイホーム」をずっと望んでいたんです。

もちろん、持ち家が最適な選択になる人もたくさんいますし、ぼくの友人たちにも、家を買って幸せに暮らしている人がいます。

ただ──ぼくらには合っていないと思った。

だから何度か、説得を試みました。
論理的に金額を比較して説明もしました。でも、欲しいものがあるときって、どんなに理屈を並べられても、気持ちは動かないんですよね。

見えない「気持ちの意味」って、やっぱり大きい。

そうして夫婦げんかが増えていき、ついには離婚話にまで発展してしまいました。

そこで、ぼくはこう考えました。

「購入後に後悔して、“ほら言ったでしょ”って言うしかないな」という考えでした。

……はい、完全に間違ってます(笑)

結局、大金を投入して、長期ローンを組み、大きな土地に吹き抜けの家を建てました。
アメリカで借りていた月額40万円(駐在員時代で会社負担)の家よりも、住みやすい家ができたんです。こだわった分、完成度は高かった。

でも──

毎月のローンのせいで妻の好きな海外旅行に行くお金がない。
親への仕送りも厳しくなりました。
妻の妹を大学に送るための資金も必要になりました。
お金がないと感じたときは毎回家のせいにしていました。
そのたびに「ほら、言ったでしょ」と。
言ってもむなしいだけなのに。
そうして喧嘩も増えて再び離婚の危機。
そんな時、海外転勤の話が来ました。
子どもの学校での苦労も続いていたので、妻ともこれは良い機会だと満場一致。

家を建てて、わずか2年後のことです。

さらにその2年後には、任務終了とともに「もうこの場所には戻りたくない」という気持ちが家族の中に芽生えていました。学校の問題もあったし、気持ちがすっかり離れてしまったんです。

「家はどうする?」とまた揉めそうになりましたが、
妻も「あの家を建てたのは失敗だったかも」と感じてくれていて、今回は一緒に解決策を考えることができました。

そうしていろいろあった結果、人に貸すことでなんとか落ち着きました。

センスの良い妻が色々こだわったことで住み心地が良かったことや、学校の問題も“英語メインだったうちの子には合わなかっただけ”という背景があり、借り手がすぐに見つかったのです。

なんとか乗り越えることができましたが、「ほら、言ったでしょ」って言うためだけに、人生で一番大きなリスクを背負ってしまいました(笑)

この経験から一番反省しているのは──

「ぼくが正しいことを証明したい」という目的に集中しすぎていたこと。

最初に話し合いがこじれたとき、ぼくは「賃貸の方が合理的だよ」と、論点を“賃貸 vs 持ち家”に限定してしまっていました。

でも本当に大切だったのは、「家族みんなにとって、どんな暮らしが幸せなのか?」という視点。

そこを見失っていたんです。

実際、今住んでいるタイは、妻や子どもたちと一緒に話し合って決めたもの。だからこそ、全員がとてもハッピーに暮らせています。

大切なのは、“どちらが正しいか”ではなく──
“何が自分たちにとって大切か”を一緒に見つけること。

「賃貸か?持ち家か?」は、あくまで手段や選択肢にすぎません。

だからこそ、お互いの見えない気持ちを見えるようにしたり、直感を引き出したり、選択肢を広げたりして、“意味のある選択”ができる方法が必要だと感じたんです。

そして、そんな失敗から生まれたのが──
『インスピ×ロジック決断シート』
です。

このシートを使って、ぼくらはタイに移住することを決めました。
そのときのエピソードや実際の使い方は、こちらの本に詳しく書いていますので、もし興味があればぜひ手に取ってみてください。

住む場所を決める以外にも、進路や仕事、恋人選びなど、人生の大事な決断に活用できます。

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あなたは最近、誰かと「どっちが正しいか」で揉めましたか?

ぼくのような回り道をせずに、
みんながハッピーになる決断ができますように。

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