君の意味

金沢勇希の『君の意味』

英語の通訳を…英語で?

学校の先生から届いた、ある英語のメール。

ちょっとしたミスがあって、その謝罪文だったのですが──
とても丁寧で、ややこしい表現ばかり。

最初に読んだ妻は、「これ、一体何の話をしてるの?」と困ってしまいました。

それを見て、ふと思い出したのがアメリカでの出産のことです。

長男を日本で産んだとき、ぼくは日本語の説明を英語に通訳していました。
出産前のトレーニングも一緒に参加して、サポートしていたんです。

そして、アメリカでの出産でも同じように通訳をしていたのですが──
そこで起きたのが、ちょっと不思議な出来事。

妻は英語がとても流暢です。
でも、英語は第二言語なので、医療用語などの専門的な表現はあまり得意ではありません。

診察中、お医者さんの話がよくわからない…となって、
ぼくが通訳をすることに。

ただし、英語から…英語へ(笑)

つまり、難しい医療用語を、もっとわかりやすい英語に“言い換える”わけです。

当初、妻が「夫が通訳します」と先生に伝えたとき、
先生は当然「タイ語に訳すんだな」と思っていたそうです。

でも実際に、ぼくらが英語でやり取りをしているのを見て、
ようやく「簡単な言葉にしてください」とぼくが頼んでいた意味を理解してくれたようでした。

ただ、それでも先生が優しい言葉を使ってくれているのに、
なぜか妻が理解できないことがある。

でも、ぼくが言い換えると、一発で伝わるんです。

おもしろいですよね。

ぼくらが結婚した理由のひとつにも、
「母国語が違うのに、なぜか意思が伝わる」っていう不思議な感覚がありました。

もちろん、ぼくが妻の知っている単語や話し方を理解してるってこともあるんですが、
それだけじゃない、何か“通じる波長”のようなものを感じます。

仕事でも同じようなことがあります。

日本語でも英語でも、ぼくが説明すると「わかった」と言ってもらえることが多いんです。

先日、今お手伝いしている会社の社長にも言われました。

「君、教えるのが上手いね」と。

その社長は博士号を持ち、世界にひとつしかない技術を生み出した超優秀な方ですが、
「1言ったら10わかる人と話すのが好き。
自分は教えるのは苦手なんだ」と話してくれました。

たしかに、革新的な技術や新しいサービスを広げていくには、
“誰でも理解できるように伝える力”がとても大事です。

伝わらなければ、使ってもらえないし、広がっていかない。

だから、「伝える力」って、単なるスキルじゃなくて、
人と人とをつなぐ力だと思うんです。

あなたは、人に教えるのが得意な方ですか? それとも苦手な方ですか?

あなたの想いのこもった説明が、相手の方に届きますように。

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