君の意味

金沢勇希の『君の意味』

社員は替えが利く駒なのか?

先日、ある会社の役員の方から、こんな話を聞きました。

「社員が1日8時間、月160時間も本当に働いてるか疑問だよ。
みんな“忙しい”って言うけど、定量的じゃないんだよね。」

その人は大企業出身で、効率重視。

この方は、大手企業から来た人で、「システム」に慣れているのです。
ここで言う「システム」とは、自動的に回る仕組みのこと。

大きな会社では、自分の部署以外の業務内容を深く知る機会はあまりありません。

すでに仕組みが完成しているから、
その職種の人を採用して、マニュアル通りに動いてもらえば事足りる。

つまり、「個人は代えがきく存在だ」という考えになっています。

たしかに、事業を拡大するには仕組み化は必須。
人間は一人しかいないし、全部自分でやっていたら、
その人の時間的・能力的限界が、そのまま事業の限界になります。

仕組みによって「再現性」を生むことができれば、
国内展開はもちろん、海外進出も見えてきます。

一方で、スタートアップ企業というのは──
まだ始まったばかりで、仕組み化されていない部分がたくさんあります。

マニュアルがなかったり、
ある作業を社内で1人しかできない状態だったり。

こういう状況を見て、先ほどの役員さんは言いました。

「ありえないでしょ。」

それを聞いてぼくはとてもモヤモヤしてしまいました。

ぼくは社会人1年目から社内ベンチャーを経験し、
その事業の中心メンバー3人のうちの1人として、立ち上げに関わっていました。

海外との折衝、企画のまとめと発表、販路やパートナーの開拓が主な担当。

でも人手が足りないときは、開発部や製造部の仕事もしました。

その事業の売上が5億円を超えたあたりで、
自分の仕事をマニュアル化して引き継ぎ、チームで回せるようにしました。

あれから十数年。
今ではその事業は、売上100億円、世界展開まで達しています。

だから、「仕組みがないなんてありえない」と言う人には、
もしかしたら仕組みを「作った」経験がないのかもと思ってしまうのです。

さらに、その方が「社員は代えがきく」と言ったとき、
正直、ぼくはドン引きしました。

そんなふうに言われた社員は、どう感じるだろう?

もちろん、「自分は代えがきかない」と思い込むのは、
ただの自惚れかもしれません。
でも、「代えがきく」と言われ続ける職場で働くのは、不安です。

いつ異動になるのか、いつクビになるのか。
そんな不安に怯えながらでは、自分の存在意義すら感じられなくなってしまう。

実際、この人が来てから、その会社の方々は、

次は誰がクビになるかと不安がっていました。

誰かの役に立って、
その会社やコミュニティの中で「自分の居場所がある」と感じられたら、
それだけで、働くことがすごく楽しくなる。

ぼくはこれからも、そんな気持ちよく働ける場所を提供していきたい。

毎日一緒に働く方々は大事にしたいですよね。

あなたは今、職場のどなたに感謝していますか?

あなたも、自分の価値を感じさせてくれる仲間と出会えますように。

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