君の意味

金沢勇希の『君の意味』

木の下で本を読んだことはありますか?

『週末の予定は?外が気持ち良さそうだよ』

リトアニアにいると、この時期はみんな外に出て自然と触れ合っています。
冬は1日中暗いので、太陽光が足りなくて鬱になる人も多いのだとか。
その反動なのでしょうね。

ぼくはというと、つい部屋に引きこもりがちなので、同僚からは冒頭のようなメッセージがよく届きます。氣を遣ってくれているんですよね。

こちらに来たばかりの頃、アパートの近くにある公園に気づきました。
10メートル以上ある高い木々に囲まれたその場所は、まるで森の中。

ある日、その公園を通りかかったら、木の下で高校生くらいの女の子が本を読んでいました。
その光景がまるでファンタジーの一幕のように見えて、「ぼくもやってみたい!」と憧れてしまいました。

それから何週間か経ち、一人でその公園を訪れたとき、彼女が座っていたあの場所に行ってみたのですが……
芝生や切り株があるわけでもなく、どこに座ればいいのかよくわからない。
結局、座ったり立ったりを繰り返して、完全に不自然。
不審者みたいになってしまいました。

不審者といえば。
中学生の頃、当時読んでいた本の影響で「自然の中でオーラを視てみよう!」と思い立ち、
家の近くの神社に行ったことがあります。

このときも、やっぱりどこに座っていいかわからなくて、
木に登っていました。
枝のひとつに腰掛けてみたら、そこが妙に落ち着いて、
しばらく指と指の間のオーラを視る練習をしていました。

そんなぼくを、犬の散歩で通りかかったおばさんが発見。
目の端で見えたのですが、彼女はぼくを見上げた瞬間、びくっと体を震わせました。
驚かせてしまって、ごめんなさい。

……こんなふうに、家に引きこもっていると、
自然との接し方すら忘れてしまうものですね。

さて、現在に戻ると、ぼくはその後もいろいろ試してみました。
同じ公園の芝生で寝転んでみたり、子どもたちとどんぐりを集めたり、側転してみたり。

でも結局のところ、無理に何かをする必要なんてなくて、
ただ、ぼーっとしているだけでもよかったんです。
自然に振る舞うって、そういうことなんですね。

ありのままでいい。
自然のままを感じ、そのとき思ったことをすればいい。

生き方もきっとそうなのでしょうね。

……というわけで、今日もこれから散歩に行ってみようと思います。

【追記】▼ここで本を読んでいました。

少し先には卓球をしている人も。

街中に自然があるっていいですね。

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